<ヤマハ bR6693>
 製造番号からすると1943(昭和18年)年製のようです。
 正面には織物がはめ込まれ、ライトアップするとそれが周囲の木目と調和し、
 どちらかというと日本的な雰囲気がかもしだされます。
 京都の竹林を背景にすると映えそうな感じでしょうか。
 ピアノは元来、ヨーロッパ生まれの楽器のため、国産であっても西洋的な
 デザインを模倣するというのが通例のなか、このデザインは革新的だといえるでしょう。
 戦時中という時代背景もあったのかもしれませんが・・・、
 ではこのピアノを設計した斉藤佳三(さいとうかぞう)という人はどのような人物なので
 しょうか。
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<斉藤 佳三(かぞう) (1887-1955)>
 明治20年、秋田県生まれ。
 東京音楽学校師範科(現東京芸術大学)に入学後、東京美術学校図案科に
 再入学。
 要するに、音楽と美術の両方を学びその上、ドイツへまで留学し、その活躍の
 舞台は音楽、美術・工芸・デザイン・舞踏・演劇・文学とあらゆるジャンルにわ
 たり、今では考えられないようなスーパーマンだったようです。
 昔の人は偉かった。
  その功績はこと音楽に限ってみても在学中に作曲した「ふるさとの」
 (作詞:三木露風) をはじめ、「燕」・「鳥は口籠もる」等、大正、昭和にかけて多くの
 作曲をしています。
 又、日本初の創作オペラ「羽衣」に取り組み、自ら出演したりしています。
 音楽以外でもデザイナーとして家具設計と室内装飾、楽譜、SPレコードアルバ
 ムの装丁、流行歌の作詞、作曲、国民服やネクタイ、浴衣のデザインと多岐にわた
 ります。
 以外なところではヤマハのロゴマーク、あの音叉が3本交差したやつですが、
 当時ヤマハのデザイン主任であった彼が手がけたと言われています。
<小物入れ付>
 ご丁寧に小物いれがついています。

<オーバーホール済>
・内部については弦交換は行いましたが、ハンマー
 はオリジナルのままです。